文献
Takayama S, Shiga Y, Kokubun T, et al. The traditional kampo medicine Tokishakuyakusan increases ocular blood flow in healthy subjects. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine 2014: 1-8. doi: 10.1155/2014/586857. CENTRAL ID: CN-00993227, Pubmed ID: 24872835
1. 目的
当帰芍薬散の眼血流増加作用の検証 2. 研究デザイン
研究1: 二重盲検ランダム化比較試験 (cross over) (DB-RCT-cross over) 3. セッティング
大学 眼科学教室 4. 参加者
研究1: 13名の健康なボランティア、20歳以上70歳未満 (平均年齢37.3±12.3, 男6名、
女7名) 、両目の眼圧22 mmHg以下 (除外基準: 眼底異常、眼の手術歴、高血圧 や糖尿病など全身性疾患の既往、喫煙)
研究2: 19名 (38眼) の健康なボランティア (平均年齢32.0±11.0、男8名、女11名) 5. 介入
研究1: Single Armで4種類の漢方薬 (ツムラ抑肝散エキス顆粒、ツムラ当帰芍薬散エキ
ス顆粒、ツムラ桂枝茯苓丸エキス顆粒、ツムラ八味地黄丸エキス顆粒)それぞれ
5 gを50 mlのお湯で内服。ブラインディングされた漢方薬をランダムに2か月
の期間中に全員が4種類を服用。1種類の漢方薬を服用後、1週間以上のウォッ シュアウトのあと、次の漢方薬を服用。服薬前後で検査。 (13名)
研究2: Single Armで当帰芍薬散5 gを50 mlのお湯で投与し、15分、30分、45分、60 分後に検査。1週間以上のウォッシュアウトのあとコントロール (50mlお湯) を 同様に評価。 (19名)
6. 主なアウトカム評価項目
研究1、研究2ともに、眼圧、血圧、脈拍、レーザースペックルフローグラフィ(LSFG) により測定した眼血流 (Ocular Blood Flow: OBF) の一指標であるMean Blur Rate (MBR) 7. 主な結果
研究1: 眼圧と血圧については4種類の漢方薬に差はなかった。眼血流が当帰芍薬散投 与30分後有意に増加した (100%-103.6±6.9%, P<0.01)
研究2: コントロールと比較し当帰芍薬散投与後に有意に眼血流が増加した (P<0.01) 。 また当帰芍薬散はベースラインと比較し、30分-60分後に眼圧が有意に増加し た (P<0.01) 。
8. 結論
当帰芍薬散は、健常者において、血圧や眼圧に影響せずに眼血流を増加させる。
9. 漢方的考察
研究 2 で当帰芍薬散を投与した対象について、気・血・水の状態を知る質問票を用い て漢方医学的診断を行った。
10. 論文中の安全性評価 記載なし
11. Abstractorのコメント
研究1のRCT-cross overにて4種類の漢方処方から当帰芍薬散のみが眼血流量を増加さ
せることを明らかにし、研究 2で当帰芍薬散の眼血流増加作用を経時的に実証した臨 床試験である。眼圧や血圧には影響せず眼血流量だけを増加させること、しかも漢方 医学的診断で当帰芍薬散の証に合致する例で眼血流がより増加したと述べている。試 験のアウトカムが健常者における眼血流量と代替エンドポイントであり、現時点では 臨床的に強固なエビデンスとはいえない。しかし可能性を秘めた研究であることは確 かである。次なるステップとして健常者でなく、眼疾患患者における真のエンドポイ ントをアウトカムとしたRCTを期待したい。
12. Abstractor and date 鶴岡浩樹 2017.3.31
21. その他
文献
堀井周文, 小此木明, 大窪敏樹, ほか. 葛根湯エキス製剤および湯剤の同等性に関する研 究 (I) . 生薬学雑誌 2014; 68: 9-12. 医中誌 Web ID: 2014173073 MOL, MOL-Lib
1. 目的
漢方製剤において指標となる成分の選択と、エキス製剤と湯剤の同等性の評価 2. 研究デザイン
ランダム化比較試験 (cross over) (RCT-cross over) 3. セッティング
大学病院医療情報ネットワーク研究センター臨床試験登録による公募 4. 参加者
健常人6名 5. 介入
投与パターンでの群分けが分からないため、薬剤群での Arm の記載とした。
Arm 1: 葛根湯湯剤 (葛根8 g、麻黄4 g、大棗4 g、桂皮3 g、芍薬3 g、甘草2 g、生姜1
gを水500 mlに加え加熱抽出、ガーゼ4枚重でろ過、半量に濃縮調整) 投与後2
週間あけてクラシエ葛根湯エキス細粒投与。6名
Arm 2: クラシエ葛根湯エキス細粒 (7.5 g) 投与後2週間あけて湯剤投与。6名
6. 主なアウトカム評価項目
投与後15, 13, 60, 120, 240分のエフェドリンおよびプソイドエフェドリン血中濃度
7. 主な結果
葛根湯エキス製剤と湯剤との間に、服用後の血中濃度に差はなく、Tmax, Cmax, AUC, およびMRTの各パラメーターから吸収速度に2群間の差を認めなかった。
8. 結論
局方の指標成分であるエフェドリンおよびプソイドエフェドリン血中濃度分析という 手法を用いて葛根湯エキス製剤と湯剤の同等性を評価できる可能性が示唆された。
9. 漢方的考察 なし
10. 論文中の安全性評価 記載なし
11. Abstractorのコメント
本研究は、日常漢方診療で用いられている製剤のうち、多くを占めるエキス製剤と湯 剤との間に同等性がみられるか否かを検討していたものである。葛根湯の主要成分の うちエフェドリンとプソイドエフェドリンを指標成分としたところ、エキス製剤と湯 剤との間に服用後の両者の血中濃度の差はなく、吸収速度に差を認めないことが判明 した。このことは臨床現場で処方する製剤の違いにより効果に大きな差がでない可能 性と、製剤の同等性の評価に局方の指標成分を用いた手法を利用することができる可 能性を示唆している。本研究は 6名を 2群に分けた小さなグループでのパイロットス タディの性格を持つと思われ、個体差を有するヒトにおいて、普遍的な結果を得るた めには研究対象数を蓄積していく必要がある。漢方製剤が体内に取り込まれた後の生 薬成分の動態に関するこのような基礎的研究は、漢方の効果を期待して日常診療に取 り組んでいる臨床家にとって大きな意味を持つ。今後のさらなる研究が望まれる。
12. Abstractor and date 後山尚久 2017.3.31
140022
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21. その他
文献
堀井周文, 小此木明, 大窪敏樹, ほか. 小青竜湯エキス製剤および湯剤の同等性に関する 研究 (I) . 生薬学雑誌 2014; 68: 65-9. 医中誌 Web ID: 2014173073 MOL, MOL-Lib
1. 目的
小青竜湯エキス剤および湯剤の同等性の評価 2. 研究デザイン
ランダム化比較試験 (cross over) (RCT- cross over) 3. セッティング
大学病院医療情報ネットワーク研究センター臨床試験登録 (UMIN-CTR) 4. 参加者
公募に応じた6名 5. 介入
群分けについての記載がないため、薬剤群でのArmの記載とした。
Arm 1: クラシエ小青竜湯エキス細粒 6.0 g
Arm 2: 湯剤 (麻黄3 g、芍薬3 g、乾姜3 g、甘草3 g、桂皮3 g、細辛3 g、五味子3 g、 半夏6 g)
6. 主なアウトカム評価項目
エフェドリン、プソイドエフェドリン血中濃度 7. 主な結果
湯剤とエキス剤において、各時点における血中濃度に有意差はなかった。
8. 結論
小青竜湯の湯剤とエキス剤間において、麻黄指標成分の濃度は同等と考えられる。
9. 漢方的考察 なし
10. 論文中の安全性評価
特に問題は認められなかった。
11. Abstractorのコメント
本論文においては、麻黄の指標成分を比較して、有意差がなかったとしているが、論 文中の考察にもあるとおり、芍薬のペオニフロリン、甘草のグリチルリチン酸なども 含めた比較や、吸収代謝の影響も考慮したデータが得られるならば、さらに正確にな ると思われる。しかし、少なくとも麻黄の指標成分は、同等であることが示されたこ とにより、エキス剤の薬能の一端は、証明されたと考えて良い。
12. Abstractor and date 中田英之 2017.3.31
10. 呼吸器系の疾患 ( インフルエンザ、鼻炎を含む )
文献
阿部勝利. 小児上気道炎の漢方薬・西洋薬両群における治療成績について. 第10回日本 小児東洋医学研究会講演記録 1993; 10: 19-23.
阿部勝利, 高木清文. 小児上気道炎に対する漢方薬治療群と西洋薬治療群の成績比較に ついて. 日本東洋医学雑誌1993; 43: 509-15. J-STAGE
1. 目的
小児上気道炎における漢方薬群と西洋薬群の治療効果の比較 2. 研究デザイン
準ランダム化比較試験 (quasi-RCT) 3. セッティング
小児科内科診療所1施設 4. 参加者
1991年7月1日から31日までに同院を夏かぜで受診した小児419名を来院順に2群に 割付けた。同時期の同地域ではコクサッキーA2、コクサッキーA4ウイルスの検出頻度 が高かった。
5. 介入
Arm 1: 漢方薬 (メーカー不明) 群212名。桂麻各半湯76名、麻黄湯63名、桂枝二麻黄 一湯14名、桂枝二越婢一湯9名、銀翹散8名、柴胡桂枝湯5名、小青竜湯4名、
小青竜湯合半夏厚朴湯4名など
Arm 2: 西洋薬群207名。投薬内容は不明。
6. 主なアウトカム評価項目
受診回数と転帰。転帰は抗生物質 (内服、点滴) の使用数、喘息性気管支炎・急性気管 支炎・肺炎の発症数。
7. 主な結果
受診回数は漢方薬群で1回-159名、2回-37名、3回-12名、4回-3名、5回-1名。
西洋薬群で 1回-132名、2回-44名、3回-14名、4回-7名、5回-6名、6回-2 名、7回-1名、8回1名。漢方薬群の方が受診回数は少なかった。抗生物質を内服で 使用した症例は漢方薬群で11名、西洋薬群で179名。抗生物質の点滴投与は漢方群で 0名、西洋薬群で12名。喘息性気管支炎の発症は漢方薬群で9名、西洋薬群で8名。
急性気管支炎の発症は漢方薬群で1名、西洋薬群で10名。肺炎の発症はいずれの群で も認められなかった。
8. 結論
小児上気道炎に対し、受診回数は西洋薬群よりも漢方薬群が少なく、漢方薬群の方が 治癒が早いことが示唆される。抗生物質の使用も急性気管支炎の発症も西洋薬群と比 べて漢方薬群が少ない。
9. 漢方的考察
本文考察に証に関する仮説の記述があるが、本試験で各患児にどのような基準で漢方 薬を選択したかの記述はみあたらない。
10. 論文中の安全性評価 記載なし
11. Abstractorのコメント
来院順に割付けたため準ランダム化比較試験となってしまった。EBMがまだ日本に浸 透しておらず、CONSORTも世に出ていない時代の臨床試験である。対象者の年齢や性 別、西洋薬の介入の詳細、漢方薬の投与基準などが不明瞭なため結果の解釈は難しい が、当時としては先進的な取組みであり、貴重な報告と思われる。
12. Abstractor and date
鶴岡浩樹 2013.12.31, 2017.3.31
930024